7/27(金)
BC(4410m) 13:30(晴) → スバシ(3730m) 14:00(雨) → タシクルガン郊外のホテル(3050m) 15:30(晴)
今日から最低4日間の休養後、Summit pushに向かう予定。BCでも十分標高は低いのだが、さらに良質の休養、そして滅多にこんな地域まで来れないので、タシクルガンという中国最西端の街まで行って、観光がてらホテルで2晩泊まることにした。なんという贅沢な休養日!!
BCからバイクの後ろに乗せてもらい30分でスバシまで降りる(ダートの急坂の下りは怖かった!)。そこで出迎えの車に乗り換えてカラコルムハイウェイを1.5時間南下し、タシクルガンの街の北4km程のホテル到着。久々に快適なシャワーを浴びてさっぱりし、ふかふかのベッドでぐっすりと寝る。
7/28(土)
タシクルガン観光(晴)
朝食後、タクシーでタシクルガンの市街地に行く。石頭城の遺跡を見学したり、街中をブラブラ歩いて買い食いしたのち、早めにホテルまで戻ってのんびりする。
石頭城遺跡 タシクルガンの目抜き通り
7/29(日)
タシクルガン郊外のホテル(3050m)14:00(快晴) → スバシ(3730m) 15:20~35(晴) → BC(4410m) 16:15(晴)
昼過ぎに出迎えの車でスバシまで戻り、そこからまたバイクの後ろに乗せてもらってBC帰着。標高の低い場所の快適なホテルで2泊もしたので、非常にリフレッシュできた。
再びカラコルムハイウェイを北上 走行中に撮影したムスターグアタ
7/30(月)〜8/1(水)(7/31までは雪も降る天気、8/1はほぼ終日快晴)
BCで天気待ち
ヤマテン含む各種天気予報を総合すると、8/3以降は亜熱帯高気圧が再北上し、8/4以降に上部の風が収まる模様。8/5が最も風が収まる予報なので逆算して8/2にBC出発とする。この期間は天候不順なことが多く、BCでも雪が降った。この期間に頂上に向かったグループの大半は苦労して登頂するか敗退していた。
仲良くなった同じBCの他のグループメンバーと、ひたすらのんびりする。
BCも薄っすらと雪化粧 時にはこんなお客さんも
8/2(木)
BC(4410m) 14:45(曇) → 4930m 16:03~15(曇) → C1(5430m) 17:37(曇)
昼食後、Summit pushのためC1に移動する。尾根に出ると少々風があり結構寒い。天気予報だと今日が最も風が強い日で、明日以降は徐々におさまってくる予報。軽装なので3時間もかからずにC1に着けた。同じBCからは他にガイドに引率された1グループ5人がSummit push に出発した。
最高の眺め付きのDinner C1の夕暮れ
8/3(金)
C1(5430m) 10:10(快晴) → 5716m 11:29~50(快晴) → C2(6175m) 14:25(快晴)
昨日までと違って微風快晴の下、快適にC2まで進む。C2のテントはそれほど埋まってはいなかったが、それでも除雪や外張スカート部分の氷化した雪塊を砕くのに苦労する(温かい時間帯にある程度撤収し易くしないと、朝は更に凍り付いていて苦労するため)。少し遅れて到着した同じBCの仲間も見かねて手伝ってくれたが、外張スカートに付着した氷を砕くのに1時間以上かかった。
C2は随分とテントが減って、今日下から上がってきたのは同じBCの仲間達だけだった。中でも8/1に低温で登頂を断念し、C3からBCに降りてきたフランス人スノーボーダー2人は、昨日1日休養したのみで今日BCから直接C2に上がってきており、大変パワフルだ。
明日は20年ぶりに7000m近くでの宿泊となるため、今夜のうちにたっぷり寝ておこうと早々に就寝する。
C1を見下ろす C2のマイテント(オレンジ)前で
8/4(土)
C2(6175m) 9:49(快晴) → 6520m 12:02~22(快晴) → C3(6845m) 14:48(快晴)
自分のテントを撤収してC2を出発する。ひたすらトレース沿いに歩くだけなので何ら困難性はないが、どんどん標高も上がってきているので体感気温も相当下がってきた。微風快晴の下、まばらになったC3のテント村に到着。
いよいよ明日頂上の予定だが、高所恒例の咳が日に日に酷くなって止まらず、苦しい夜を過ごす。夕方から小雪が降り始める。
C2を見下ろす C3の黄昏
8/5(日)
C3(6845m) 6:52(快晴) → 頂上7546m 12:55~13:50(快晴) → C3(6845m) 14:50~16:20(快晴) → C2(6175m) 17:10(曇のち晴) → C1(5430m) 17:50~19:10(曇のち晴) → BC(4410m) 21:05(晴)
昨夜の雪も夜半に止み、無風快晴の絶好のコンディション!!夜明け2時間前の6時出発の予定だったが、ガスに着火できなかったり、準備に手間取って50分ほど遅れてC3を出発する。
ひたすら容易で単調な大緩斜面を登るだけなのだが、体調がイマイチなのもあり、とても長く感じる。特に咳き込むと窒息するかと思うほど苦しくなる。ただ天候はこれ以上ないくらいの好条件のため、プレッシャーは一切ない。最後は休み休み歩き、C3から6時間で7546mの頂上に着いた。
とにかく長い! コングール(7649m)をバックに頂上写真
頂上では無風快晴の360°大パノラマを堪能する。ほぼ同時に登頂したフレンチスノーボーダーズと写真を撮り合いっこしたりして1時間以上のんびり過ごす。
シールをはがして下降し始めるが、シュカブラが目立つ雪面は滑るのも疲れるため休み休み滑る。咳がひどいこともあって体力の消耗が激しく、思わずC3に泊まりたくなる。しかしハーハー言いながらC3まで滑り降りると多少元気になり、予定通り降りれる所まで降りることにする。
テント撤収後、一気に重くなったザックを担いで下降を続行するが、C2まで滑り降りるのでも一苦労。しかしもう少し滑れば後は土の上を歩いて降りるだけなので、気力を振り絞ってクレバス帯を慎重に滑りC1着。ここでも自分のテントを撤収し、更にはスキーやブーツも脱いで一気に30kg位になったパンパンのザックを背負う。時間をかけてBCまで下山すると、登頂を諦めて早めに帰着していた仲間数人が出迎えてくれた。同日に登頂したメンバーも徐々に到着し始める。皆で談笑しながら夕ご飯を食べ、早々に就寝。
C3の撤収 重たいよ~
C1も撤収して更に重く。。。 もうすぐBCに下山
8/6(月)
BCで休養・装備点検(快晴)
カシュガルには明日降りることになったので、今日は休養と装備の点検・パッキングにあてる。使用ギアを一面に並べた写真を書籍やネットで見ることがあるが、一度やってみたかったのでついでに広げてみる。結果、登攀具は全く使用しない山なので、ほぼ生活用具で見栄えがしなかった。
主要装備 特注のオーバーシューズ 兼用=軽量化
8/7(火)
BC(4410m) 11:40(快晴) → スバシ(3730m) 12:40~13:10(快晴) → カシュガルのホテル 17:10(快晴)
本来スバシとBC間は徒歩なのだが、ダートとはいえ立派な道があって車やバイクも余裕で通行できる。そこでBCの仲良し6人組で車を頼んでスバシまで降りることにした。
2台に分かれてスバシまで降りるが、そこからは松平のみ別の車でカシュガルに戻る配車となっていた。急なお別れとなって寂しいが仲良くなったメンバーとの再会を期し、一人で8人乗りミニバスに乗せられカシュガルのホテルまで向かう。
カシュガル到着後は、ひとまずホテル近所の食堂で定番のラグメンとケバブを堪能した後、ホテルのシャワーでリフレッシュする。明日以降、帰国便まで一週間近く時間が余っているが、せっかくここまで来たので帰国便は変更せず、のんびり観光して過ごすことにする。
BC下の村から見たムスターグアタ 仲良くなったメンバーと記念撮影
8/8(水)〜8/13(月)
カシュガル観光(ほぼ毎日快晴)
8/8は装備の洗濯や点検・再パッキングにあてたが、それ以外はほぼ「朝食→朝寝→市内観光(昼食)→ホテルに帰って昼寝→暗くなるころに街に出て夕食」と、規則正しく怠惰な毎日を送る。
小さな町なので観光スポットは全て回りつくした。ウィグル料理(といっても大好きなラグメンとケバブばかり食べていたが)も堪能し、市内で縦横無尽に走っている路線バスも乗りまくって「シルクロードの街」を楽しみつくした。
8/14(火)
カシュガル空港(CA1478)18:00(1:35遅れ) → 北京空港 8/15 0:40 → ホテル
いよいよ帰国の途に就く日が来てしまった。市内から空港へは路線バスを利用する。空港では受託荷物を預けた後に、セキュリティーチェックで「ジェットボイル本体も機内持ち込み不可」と言われ、再びチェックインカウンターで受託荷物を取り戻して入れなおす。
北京行きのフライトは出発が1時間半も遅れたが、あとはどうせ帰るだけ。機内でのんびり過ごしていると、左前方に見覚えのある山並みが見えてきた。20年以上前に2回行った天山山脈だ。左に重厚なポベーダ(7439m)、右にハンテングリ(7010m)のピラミダルな雄姿を眺めつつ、この年齢になって自身の最高到達高度を更新できたことに感謝する。
行きと同様にウルムチで一旦降機し、再び北京に向けて飛び立つ。北京には日付が変わってから到着し、トランジットホテルに着いた頃には2時を回っていた。シャワーを浴びてさっさと仮眠。
1時間半遅れでやっと搭乗 懐かしのポベーダ、ハンテングリ
8/15(水)
ホテル → 北京空港 (CA925) 9:25 → 成田空港13:55
ホテルでは2時間弱仮眠をとれた。朝食後、6時前のシャトルバスで空港に戻る。相変わらずの長蛇の列に並んで受託荷物を預け、今回最後のフライトに乗り込む。
成田空港ではスキーケースが出てこず、初めてのロストバゲージを経験する(2日遅れで自宅に配送されてきた)。しかし登山終了まではトラブル無く済んだ幸運を噛みしめ、今回の旅に幕を下ろした。
寝不足だ~ そして最後にロストバゲージ。。。
○主要装備
テント3(BC,C1,C2~3用 各1)、簡易スコップ、ジェットボイル、予備ガスコンロ、予備コッヘル、ガスカートリッジ大(470g入)2(BCで購入)、ライター(カシュガルで購入)、寝袋2(BC用、高所キャンプ用)、極寒用雪山衣料一式、ヘッドランプ、地図&コンパス&GPS、赤布付き竹竿20(無くても良かった)、ピッケル(スコップの柄としてのみ使用)、ストック2、山スキー、シール、クトー、山スキー兼用靴、トレッキングシューズ、ツエルト、高所キャンプ用食糧(朝、夜)12泊分持参(6泊分使用)、行動食16日分持参(一部カシュガルで調達)、修理具、医薬品、パルスオキシメーター、携帯バッテリー、ソーラーパネル、iPhone(中国移動香港のSIMカードを使用)
*以下、持参したが使用せず:
スノーソー、アイゼン、ハーネス、タイブロック、7mm30mロープ、Inmalsat衛星携帯電話
○技術メモ
<BC(4410m)〜C1(5430m)>
モレーンの尾根。歩きやすい踏み跡がしっかりとついていて、トレッキングシューズで十分。
<C1〜C2(6175m)>
C1から雪面を標高差120mほど登るとセラック直下に上部C1あり。そこからセラックを左に巻き、以降大きなクレバスを巻くように進むと5900m付近でクレバス帯を抜ける。以降はなだらかな尾根をC2まで。
<C2〜C3(6845m)>
広い斜面をC3まで。視界不良時は、たまにある大きなクレバスに落ちないよう注意。
<C3〜頂上(7546m)>
どんどん傾斜が緩くなる大緩斜面をひたすら登る。
○天候
○現地旅行社
○登山環境
○持参医薬品・その他健康関連
<持参した医薬品等のリスト>
実際に現地で使用していたもの
上記のトレーニングにおいて、回を重ねるごとに同一条件下での血中酸素飽和濃度は高値を示すようになった。これらの事前準備によって、現地での順調な順応に役立ったと思われた。
○物価
○現地での物資調達
○通信事情
○治安(カシュガル~タシクルガンまでのカラコルムハイウェイ沿いについて)、当局の新疆政策等
あくまでも限られた期間の滞在ではあるが、人口の大多数を占めるウィグル人は、与えられている環境でごく普通に幸せに生活しているように思われた。漢民族との確執はあるのだろうが、表面上はビジネスでも私生活でも協力し合って過ごしているように見受けられた。むしろ抵抗運動という名のテロ事件が起きることで平穏な生活を脅かされるほうが、ウィグル人にとって不幸なのではないかとも思われた。
○言語
以 上